ホーム リーダーシップ 『ダンケルク (Dunkirk) 』 ~日本ストラタステクノロジー 社長ブログvol.5

『ダンケルク (Dunkirk) 』 ~日本ストラタステクノロジー 社長ブログvol.5

3月の米国本社への出張は、典型的な社内ビジネスミーティングでしたので、単調な日々でした。本社オフィスに4日間、ホテルと空港間の移動を含め5泊。金曜日朝にホテルから空港へ向かうという具合です。丁度、東海岸の吹雪にあたってしまいましたので、ほとんど毎朝、車の雪下ろしから1日が始まるといった具合です。金曜日のボストン・ローガン国際空港へ至る道は既に雪かきもしてあり、空港自体も順調に運営されていました。確か、その週のどこか1日、ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港は大雪で閉鎖されたと聞いています。

出張で空港を利用する際や、プライベートの旅行で空港を利用する際にも、最も気になるのは自分が搭乗するフライトのスケジュールです。ストラタスに入社後は、併せて空港の運営が順調に行われていることが気になります。空港には、多くのコンピュータベンダーや通信ベンダーの機器が運用されていますので、他のベンダーやシステムインテグレータの方々も、同じような感覚を持っているのではないかと推察しています。

高可用性を要求する業務で使用されているストラタスのコンピュータは、多くの国際空港の航空管制を含む各種の用途に使用されています。もちろん、日本の空港でも使用されています。年間利用者が9,000万人を超える米国のアトランタ空港、また、香港の空港は年間利用者が6,000万人を超えます。その他にもシンガポールの空港やドバイの空港でもストラタスのコンピュータが使用されています。

さて、今回の出張時に数本の映画を観ました。その中にヨーロッパでの第二次世界大戦に関するものが2本ありました。それは、“Darkest Hour”(邦題;ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男)と、”Dunkirk”(邦題;ダンケルク)です。日本では後者は昨年に公開されましたが、前者は現在公開中ですので、映画館でご覧になる機会があると思います。

出張中には、ホテルのBARでライブ放送のアカデミー賞授賞式を見る機会があったのですが、作品賞は“The Shape Of Water”(邦題;シェイプ・オブ・ウォーター)が受賞しました。また、バーテンダーが推奨していた”Three Billboards Outside Ebbing Missouri”(邦題;スリー・ビルボード)も、主演女優賞や助演男優賞を獲得しました。興味深かったので、これらの作品も帰りの便で鑑賞しました。オスカー受賞と言えば、“Darkest Hour”で特殊メイクを担当した日本人の辻一弘氏が、メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞したことが、日本では大変話題になりました。

先にご紹介した、第二次世界大戦を舞台にした2本の映画ですが、どちらもダンケルクの撤退作戦が扱われています。 “Darkest Hour”では、チャーチルがチェンバレンの後に首相になり、難しい選択を迫られる中で、言葉の力を発揮するシーンが目立ちました。ナチス・ドイツとの講和を選ばずに、徹底した抵抗をするという中で、ダンケルクの撤退を指示する場面があります。“Dunkirk”では、複数の登場人物をカメラが追うような形式で、臨場感のある戦場での一日を表現します。英国陸軍の若い兵士、撤退のダイナモ作戦で徴用された民間船の親子、そしてドイツ空軍から撤退作戦を守る英国空軍のパイロット等です。

これらの映画を鑑賞した後に思い出したことがあります。それは最近読んだ「教養としての世界史」というタイトルの本に記述されていたことです。東京大学名誉教授の本村凌二氏の著作なのですが、実は本村氏とは私が20代の若いころに東京都国立市のBARでお会いしたことがあり、何度か競馬の話をした記憶があります。もう、30年近く没交渉なのですが、本屋でお名前を見かけて懐かしく感じて購入したものです。本の記述の中で思い出したのは、やはり英国人はまだドイツ人に不信感があるのではないかということです。もう少しわかりやすく言うと、嫌いなのではないかということです。「イギリスは2016年に国民投票の結果、EUの離脱を決定しました。残留を訴えていたキャメロン首相は辞任。英国の人々が離脱を選択した背景にあるのは、EUに支払う巨額の負担金に対する反感ですが、それはEUを主導するドイツへの反感が入り混じった複雑な国民感情の表れでもありました。イギリス人は基本的にはドイツ人を嫌っているところがあるのですが、それは第二次世界大戦の恨みがまだ尾を引いているからです。」ダンケルクの撤退をテーマにしたこれらの映画を2本見ますと、この本村氏の記述の背景が、実際に自分が体験したような感覚で理解できました。この本には、アジアにおける日・中・韓の歴史研究の話も出てきますが、ここでは割愛します。古代ローマ史の専門家が書いた世界史の文脈ですので、機会がありましたら是非直接お読みください。

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