ホーム エッジ コンピューティング ものづくり現場を救うシンクライアント・ソリューションとそのキーポイント

ものづくり現場を救うシンクライアント・ソリューションとそのキーポイント

前回の記事(ものづくり現場によくある課題 – PCとソフトウェアのメンテナンス作業)では、ものづくりの現場で多くのパソコンが使われていることとそのリスクについて解説し、それらのリスクに対するソリューションについてご紹介しました。ここではそのソリューションが一体どのような場面でどういう理由から実際に使われているかについて、事例をもとにご紹介していきます。

事例1-自動車会社に散在した数千台のPC

まず、ある自動車会社様のThinManagerソリューションの導入事例をご紹介したいと思います。ある自動車メーカーでは、工場の現場に使われている数千台のパソコンの扱いに頭を悩ませていました。OSのバージョンもバラバラで、パソコンが止まることでチョコ停が頻発しているにも関わらず、数千台のパソコンを一斉に更新するなどと言う予算も当然ありませんでした。そこでまず、幾つかのシナリオを考えてみることにしました。パソコンの一斉更新はセットアップ作業を一斉に行うことはほぼ不可能と言う理由で消去しましたが、直近数ヶ月でのチョコ停の発生回数とその対応に掛かった時間を、ライン停止の機会損失と言うことでお金に換算しました。次に、数千台の新たな端末(パソコンではないタブレット)の導入+ThinManagerのライセンス費用及び新しいサーバー導入費用を算出し、先の機会損失費用と比較してみました。これだけでThinManager導入案に軍配が上がり、採用が決まりました。パソコンからクライアント端末化へのプロセスも数年がかりの作業でしたが、今では全てクライアント端末化し問題なく稼動しています。

事例2-石油精製会社のオフショアプラント

次は石油精製の会社の例です。実態としてはプラント内に散在するパソコンの課題なので前述の自動車会社のケースと同じなのですが、オフショアのプラントを持つこの会社ではパソコントラブルの復旧に応援を呼んだりすることができません。よって、復旧に時間が掛かるのは致命傷になりかねないのです。また、全社を繋ぐ基幹システムも老朽化していたため、ここを更新するとなると数多くのパソコンにアプリケーションを入れ直すという膨大な手間が発生します。これもやはりオフショア作業の大きなリスクになるため、そうしたリスクを回避する点でThinManagerが評価され、導入に至りました。

事例3-製造ラインを止めない堅牢な仕組み

ここまで、ThinManagerを採用することでバラバラだったパソコンをサステナブル(持続可能)で拡張性の高いプラットフォームで集中管理し、高いROI効果やリスクヘッジを実現しているユーザー事例をご紹介しました。さらに一歩進んだ高信頼性も担保したケースをご紹介します。

製造業におけるシステムは、一度動き出したら止めることはできません。シンクライアント・ソリューションを導入することで、ほとんどの処理がサーバー側で集中管理されることになりますから、サーバー故障が発生するとその影響は甚大です。しかし、サーバーに故障が発生した場合、迅速に保守対応できる人材が確保できる現場はめったにありません。そこで、シンクライアント管理ソフトウェアを実行するプラットフォームには、製造業務が止まってしまうリスクを回避する、高い可用性が求められます。

そこでご紹介するのがThinManagerを堅牢で高可用性の産業用コンピューター、つまりシステムを停止することなく稼働させ続けることのできるコンピューター(=ztC Edge )上でOSやお客様のアプリケーションの一括管理と個々の運用を行うことができる仕組みを提供する組み合わせソリューション「ThinManager on ztC Edge」です。

Stratus ztC Edge:シンプルで堅牢、かつ可用性の高い産業用コンピュータ。

ThinManagerが管理するコンテンツを受信する端末はパソコンだけではなく、タブレット端末やスマートフォンといった移動式端末にも対応しています。また、OSやアプリケーションは配信ソースとして一括管理されているため、ソフトウェアのアップデートやセキュリティパッチの適用といった作業はソース側にて一元対応でき、従来の保守作業に対して、大幅な改善を提供します。「止まらないサーバー」としての信頼性の高いztC Edgeとの組み合わせによりセンター側の稼動停止の心配もなく、コンテンツ配信形式であるため、受信側端末は純粋な操作専用端末となり、端末不適合発生時には新しい端末に交換するだけで作業や業務に復帰することができます。これなら、突然現場の端末が動かなくなったり故障してしまった場合でも、OSやアプリの再ダウンロードや再設定の手間も省けます。

この組み合わせソリューションをいち早く導入したのはアメリカのLPG精製及びパイプライン供給を担う会社で、ここでは6,000マイルを超えるパイプラインと100箇所を超えるトラックターミナルを有しています。精製プラント及びトラックターミナル、そしてパイプラインの保全現場などで相当数のパソコンが使われていましたが、前述の例の様な機会損失の課題に加え、セキュリティにも非常に大きな不安を抱えていました。奇しくも最近、米国内のガスパイプラインへのサイバーアタックが話題となりましたが、それを未然に防ぐという事でネットワーク及びセンター/エッジサーバーへの堅牢性がソリューション選択の大きなカギとなったわけです。そこで、アプリケーションソフトはThinManager、センターサーバーにftServer、エッジにztC Edgeが採用され、現在順調に導入が進んでおります。

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さて、如何でしたでしょうか。今回ご紹介した実例はまだほんの一部に過ぎません。各企業においても今までの業務経験の積み重ねが、今日運用されているシステムに反映されているかと思います。それは明日、新たな業務経験があれば、明日のシステムに改定/反映されることになるでしょう。そして今後ものづくりのIoT化が進むにつれ、今後もシンクライアント化+セキュリティ対応のニーズは増え続けていくと見込まれております。そのような日々、変わりゆくものづくりの現場において、そのシステム導入後の運用軽減を図るためにも、ThinManager on ztC Edgeはお客様をサポートします。

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