年初の報道について
2024年は新年早々自然災害や事故のニュースが続き、慌ただしいスタートでした。また、政治資金収支報告書への不記載問題に対する検察捜査の進展が毎日大きく報道されていました。
これらの報道に触れていますと、色々な疑問が頭に浮かんできます。災害対策ですと、早い段階で全体像を把握して、避難や復旧の対応を開始できなかったのかということ。航空機事故ですと、乗務員の訓練に裏打ちされた誘導は素晴らしかったのですが、その前に管制業務でフェイルセーフの機能は十分に働いたのかということ。政治資金収支報告書への不記載問題ですと、政治活動の収支が民間の経済活動と比較して、何故不透明なのかということです。
デジタル技術利用の可能性
このブログでは、主にIT業界の目線で、デジタル技術利用の可能性ということで話を進めたいと考えます。第1には、自然災害の把握や分析そして対策にデジタル技術が使えないのかということです。社会インフラや道路の被害状況を確認することや孤立地域を特定することなどが、ドローンを利用して映像分析やAIの技術を駆使することにより、かなりの程度できるのではないかと考えました。今回は時間が経過してから、主にメディアの記者たちの努力や自衛隊の活動で被害の概要が判明しましたが、主にアナログな対応でした。災害時の最終的な現場へのアプローチはアナログな対応が中心になることは理解したうえで、災害対策にもデジタル技術の貢献できる領域があるのではないかと考えました。企業に求められているBCP (事業継続計)が、行政においてもデジタル技術を利用する形式で求められるのではないかと考えた次第です。
次に、航空機の事故に関しては、管制の指示に対して海上保安庁の機長が復唱したにもかかわらず、停止位置を守らなかったことが報道されています。原因究明には、ボイスレコーダーやフライトレコーダの解析が待たれます。しかし、フェイルセーフの仕組みが音声による指示と復唱ということ、そして夜でも管制官の目視に頼っていることに不安を感じました。羽田空港は良く利用しますが、離発着の間隔にゆとりがあるような空港ではありません。音声の指示と復唱そして目視というアナログプロセス以上の、デジタルな対策が必要であると考えました。最近になって、滑走路への誤進入を常時レーダー監視する人員の配置を行うと発表されましたが、このレーダー監視システムを一歩進めたデジタルなシステムの可能性が期待されます。
まず政府からデジタル技術の利用を
第3の政治資金報告書への不記載問題は、正直言って突っ込みどころが満載で難しいのですが、立法府として国民あるいは企業に強いていることと、その立法府の議員・政治団体の政治資金管理ルールにあまりにも乖離がありませんかということです。企業は電子帳簿保存法の改正で、紙の領収書でも電子保存させています。売上や経費の流れは金額の多寡にかかわらずに、詳細データの維持が必要ですし、最終的には外部の監査を受けます。ところが、政治派閥の資金パーティでは20万円超の支払いを受けた場合のみ、名前・金額を収支報告書に記載するということになっており解せません。これは実質的な派閥の収入源なので、企業と同じように、全て詳細に記録を残せばよいはずです。また、政党や政党支部から党幹部個人宛てに政策活動費が支給された場合に、そこから先の流れは報告の必要が無く、ブラックボックスになっているとのことも解せません。これも、一般企業ではありえません。デジタル庁をつくり、マイナンバーカードの普及をすすめている政府です。私自身は省庁をまたぐ国民サービスの向上への可能性を開くという意味で、カードの必要性は別にして、マイナンバー制度自体には賛成です。但し、国会議員が、政治活動の収支を透明化するためにデジタル技術を利用することは、先ず隗より始めよと申し上げたいです。
日本のデジタル利用には大きな伸び代がある
国レベルでの「デジタル競争力ランキング」が、IMD(国際経営開発研究所)から発表されています。2021年のランキングでは、1位がアメリカ、2位が香港、3位がスウェーデンと、先進国やITを活用して国力を上げてきた国々が上位を占めました。残念ながら日本は28位という結果です。シンガポールは5位、隣国の韓国は12位、中国は15位という結果から見ても、アジア各国にも大きく差をつけられた印象は否めません。
また、国連経済社会局(UNDESA)から「世界電子政府ランキング」が発表されています。
2020年の発表での上位国は、1位のデンマークから順に韓国・エストニア・フィンランド・オーストラリア・スウェーデン・英国と続いています。ヨーロッパの国が多く見受けられます。オンラインサービス指標・人的資本指標・通信インフラ指標で点数化しているようです。日本は通信インフラ指標では上位なのですが、人的資本指標が低く、オンラインサービス指標も低下しており、2020年は14位でした。
ここで大事なことは、低いランキングを否定的にとらえるだけではなく、日本のデジタル利用には大きな伸び代があると考えることだと思います。また、他国と比較して、通信インフラに関しては劣らないというのも心強いところです。人材教育を進め、他国とのサービスのベンチマークを進め、国際化をはかることで大きな改善の余地があると考えます。日本ストラタステクノロジーも、金融・社会インフラ・公共サービス・製造業のそれぞれの分野に多くのシステムを納入させていただいています。エッジ・データセンター・クラウドの連携を進めながら、日本のDX (デジタルトランスフォーメーション)が進展する一助になればと考える次第です。