ホーム リーダーシップ 4月の米国出張 ~日本ストラタステクノロジー 社長ブログ vol.35

4月の米国出張

4月の中旬に米国に出張をしました。SGH(スマート・グローバル・ホールディング)社の本社オフィースは、カリフォルニア州のサンノゼ市の北に隣接したミルピタス市にあります。いわゆる、シリコンバレーの一角です。フライトは羽田空港発でサンフランシスコ空港着の便を利用しました。空港に到着しますと、エアトレインというモノレールのような交通手段を利用して、レンタルカーセンターに行きます。ハーツのゴールドカードメンバーの駐車場に到着しますと、昔は電光掲示板に名前と駐車場番号が掲示されていたのですが、今回は駐車場番号がありませんでした。ゴールドカードの区画が設定されていて、好きな車をピックアップしてくださいというシステムになっていました。

駐車場にあった沢山の日本車の中から、乗りなれたマツダ車(今回はCX-5)を選択しました。レンタカーの駐車場から出る際に、普段は国際免許だけを確認されたのですが、今回は日本の免許も見せてくださいと言われました。どのようなチェックをしたのか知りえませんが、初めての経験です。空港からサンノゼ方面には、101と280という2経路のフリーウェイがあるのですが、景色が良いので若干時間はかかりますが280を利用しました。目的地までは40分ぐらいかかるのですが、その間で多くの日本車をみかけました。もちろん、米国車・ドイツ車・韓国車もみかけるのですが、かなりの割合で日本車が多かった印象です。EV(電気自動車)のテスラも走っていましたが、目立ちませんでした。

EVはキャズム理論の溝を超えられるか

先月のニュースで、EVの大規模導入を進めていたハーツが、維持費の増大により厳しい1年を送った後、保有するEVの約3分の1、およそ2万台を売却する決断を下したと聞きました。その、売却収益はガソリン車の追加購入に充てるそうです。世界的に自動車業界ではEVシフトは継続するものの、そのスピード感は想定していたものとは乖離が出てきたようです。各国政府のEV車への補助金政策や、電気料金自体の高騰、充電ステーション数の増加数と航続距離の関係など、いくつかの要素はあるようですが、EVシフトもやはり一本調子ではなかったようです。そんな中で性急なEV化を見直す動きも出ているようです。メルセデス・ベンツは、「市場次第との条件付きながら30年に販売をすべてEVにする」と21年に発表していましたが、「30年までにEVの比率が50%に届くことを期待する」と修正しました。

新しいテクノロジーが市場に出てきた際に、そのテクノロジーが市場に浸透するスピードを想定するのは難しいと、あらためて認識されます。コンピュータ業界でよく語られるマーケティング理論に、“キャズム理論”があります。新しい製品やサービスが出てきた際に、普及する際には超えなくてはいけない障害があって、この溝を超えることが製品の普及にとって重要であるという理論です。購買者のグループには、商品の詳細よりも先進性を重要視して購入するイノベータがいます。次に商品やサービスの詳細も気にしながら、普及可能性のあるものをいち早くキャッチするアーリーアダプタがいます。この後に溝があります。次のアーリーマジョリティは、世間で話題の商品やサービスに反応して、商品やサービスを市場全体へ浸透させる役割を担っています。アーリーアダプタまでが初期市場であり、アーリーマジョリティからがメインストリーム市場です。

EVはまさしく、このキャズム理論の溝に落ちた状況ではないでしょうか。初期の拡大期を終えて停滞期をむかえた後に、この溝を超えてEVがメインストリーム市場になってきますが、タイミングは当初多くのアナリストが想定していた時期より遅れるのでしょう。

ztC Endurance販売開始

さて、4月24日に当社の次世代無停止型プラットフォーム「ztC Endurance(ジーティーシー・エンデュランス)」が販売開始になります。データセンター向け、中規模拠点向け、そしてエッジ向けの性能の異なる3機種となります。既存の無停止型サーバーでありますftServerに対しても、性能・管理性・将来の拡張性などの面で大きく進歩しています。システムダウンの許容されないミッションクリティカルな業務用途で広く使われることを期待しています。これが第一段階です。さらに、ztC Enduranceは今後AI機能を拡張していくことが計画されています。AIの学習(Training)にはデータセンターに大規模なサーバクラスター(POD)が必要になるのですが、AIの推論(Inference)はエッジでも実行されることが想定されています。具体的には、工場に設置されたセンサー付きビデオカメラが、AIの機能で工場内の設備の劣化を検知し、障害の発生する前に警告を発するような用途です。これはあくまでも一例ですが、数年後の第二段階ではztC EnduranceがこのようなAIの推論の用途で採用広がることが想定されます。

AI技術の採用はイノベータとアーリーアダプタにおいて始まったばかりですが、すでに多くの製品やサービスが市場に登場していることも事実です。これから数年でより広範囲に展開されキャズムの溝を超えて、多くのメインストリームユーザーが日常業務にAIを組み込むようになると言われています。新しいAI関連製品やサービスを導入した企業が、仕事の効率向上や事業の収益増加につながると情報発信することで、さらなる採用が進むでしょう。このような市場の進展の中で、当社はAIの学習と推論の両方で事業を進めることが計画されています。そして、AIの推論分野でのプラットフォームとしてもztC Enduranceが活躍することが期待されます。

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