先日、当社の“Stratus Partner Day 2021”にて、バルセルナオリンピックでの平泳ぎ200Mの金メダリストである岩崎恭子さんと対談する機会がありました。当日リモートからイベントに参加いただいたパートナー企業の皆様にはご覧いただく機会があったかもしれません。実際の対談前には、メールにて私から複数の質問を遅らせていただき、当日はリハーサルや録画前に雑談をしながら打ち解けるような機会を設けて挑みました。年齢も大分違いますし、人生をすごしていた環境や経験の全く異なる二人でしたが、米国カリフォルニアで生活をしたことがあるというのは共通点でした。岩崎さんはコーチ研修で1年間ほどミッションビエホに滞在したようです。私は、クパチーノというサンフランシスコから車で30分程度南に下りた場所に2年間転勤で在住していました。
岩崎さんは日米で子供のコーチング方法に大きな違いがあったと言っていました。日本では、子供の競技タイムを良くするために、どうしても子供の泳法を改善したくなり、修正するためのコーチングが多くなってしまうようです。一方で、米国のコーチは子供の良いところをほめて、子供に達成感を持たせることに重きを置くようです。そのような環境ですと、子供たちもポジティブな発言を積極的にするようです。私も自分の経験を伝えました。米国では仕事が上手くいったときには、上司や仲間がその成果をあからさまに褒めます。“Good Job!”と。また、社員は自分の業務達成度や今後の成長機会・課題を明確に伝えられるように準備しています。わかりやすく言うと、ほめる文化とアピールする文化ですね。雑談中には、このアピールする文化あるいは明確に伝える能力が、今後は日本でも重要になると思っていますと伝えました。
さて、対談用には2つの質問を準備していました。1つは「なぜ、日本は伝統的に平泳ぎに優秀な選手が出てくるのか?」ということです。20年のNHK大河ドラマの「いだてん」でもロサンゼルスオリンピックのシーンがありましたが、200Mの平泳ぎで前畑さんが銀メダルをとりました。次のベルリンオリンピックでは金メダル。その後を調べてみますと、岩崎さんがバルセロナにて同種目で金メダル。リオデジャネイロオリンピックでは金藤さんが同種目で金メダルをとりました。男子では、鶴田さんがアムステルダムとロサンゼルスで200M金メダル。田口さんがミュンヘンで100M金メダル。北島さんはアテネ・北京と100M・200Mを連覇しました。また、最近では男子200Mの世界記録を、山口さんと渡辺さんが更新しています。
岩崎さんの答えは、「平泳ぎは(水の)抵抗が多く、技術力が求められることが大きいと思います。」ということでした。他のパワー系の泳ぎと比較して、平泳ぎでは水の抵抗をいかに少なくするのかという技術に工夫の度合いが多く、日本選手に向いているということです。2つめの質問は、「最近のオリンピックでは日本選手の個人メドレーでの活躍が目立ちます。これには何か背景がありますか?」ということです。実際に今年の東京オリンピックで大橋さんが女子の個人メドレーで2冠に輝きました。男子ではリオデジャネイロで萩野さんが金メダル、瀬戸さんが銅メダルを獲得しました。両名は東京オリンピックでも決勝に進出しています。岩崎さんの答えはかなり具体的でした。「大橋選手は日本選手としては大柄ですが、スタミナに欠けていました。その部分を徹底的に強化したことが成果に現れたと思います。萩野さんと瀬戸さんは、どの泳法も平均点以上になるように努力しました。そのことにより、苦手種目がなく総合力で海外の選手と戦える競技力を身に着けたと思います。」
水泳のような世界中の競技者が多いスポーツで、オリンピックレベルで競うということは大変難しいことだと理解します。その中で、勝ち抜くための2つの方法が、技術を突き詰められるという日本人の個性を生かすことと、苦手をなくして総合力で対峙することであるというのが面白かったです。個性と総合力という、やや相反した方向性なのですが、要は勝つ方法は一つではないということだと思います。
コンピューター業界でもメドレー競技のように、どの分野でもビジネスを遂行して総合力で勝負するという戦略もあります。クラウドでもデータセンターでもエッジでも、あるいはクライアントPCでも苦手種目がなく総合力で勝負するという戦略のベンダーもあります。ストラタステクノロジーはエッジコンピューティングの領域で顧客のディジタルトランスフォーメーションに貢献することをミッションにしています。しかも、無停止を含む高可用性の技術で差別化を図ることを前提にしています。そのような意味で、専門種目のプレイヤーと言えます。
さて、これが本年最後のブログになると思います。あらためて、2021年は大変お世話になりました。コロナ禍において大変な向かい風の一年でしたが、おかげ様で年初計画に近い業績を維持することができました。但し、年度末が来年の2月ですので、あと2か月少しの間は全力疾走することになります。2022年は専門種目のプレイヤーとして、ますます技術を研ぎ澄まして、エッジコンピューティングの領域における実績を積みたいと考えます。皆さまも良い年をお迎えください。