わたしたちはプラットフォーマーと深くかかわっている
熱中症の経験をしました。思考に霧がかかったようでした。全身がだるく、足もつりました。朝から2時間ぐらい、屋外で活動をしたのが原因です。休憩を取り、水分も摂取したのですが、今年の暑さには通用しなかったようです。2日ほど安静にしていると、症状は改善されていきました。身体の回復が先で、頭から霧が晴れた感じがするまでは3日間くらいかかりました。皆さんも、是非ご注意ください。
昨日くらいから、新聞を集中して読める程度になったのですが、今日の新聞紙面はかなり特徴がありました。全国販売の一般紙にめずらしく、1面はグローバルプラットフォーマーに関する2件の記事でほとんど埋まっていました。見出し記事は「自治体ツイッター(現 X)複数凍結 理由説明なし 災害広報に支障」というものでした。岩手県花巻市では7月17日に X 公式アカウントが凍結され、21日に解除されたようです。その間、大雨が続き洪水警報がでましたが凍結されていたために使えなかったのです。埼玉県草加市、静岡県伊東市、大分県佐伯市などもアカウントが凍結されたようです。X 側からの通知は「プラットフォームの悪用とスパムを禁止するルールに違反している」というものでしたが、具体的にどのようなことが対象になったのか良くわかりません。また、新聞社からの取材に対しては回答がない様子です。
私は X では読む一辺倒ですが、アクセスをしています。今回の一連の凍結騒ぎは、実は自治体のアカウントが凍結されたというニュースより先に、岩波書店の月刊誌の「世界」のアカウントが凍結されたことにより知りました。凍結の理由は先ほどの自治体への通知と同じで、詳細の分からぬ一般的なメッセージです。実際に何が起きているのかわからないまま、「世界」の8月号を入手するのが困難であるというような雰囲気が醸成されました。私も最近はほとんど購入していませんでしたが、書店で見かけたので思わず久しぶりに購入してしまいました。これは、購買意欲を掻き立てる新手のマーケティング手法なのかと思ったくらいです。
AIや技術革新が雇用と産業に影響を与える
2番目の記事は、バイデン大統領が人工知能(AI)のリスク管理には「いくつかの新しい法律や規制、監督が求められる」との考えを示したという内容です。「高度なAIや技術革新が、いかに雇用と産業を破壊する力を持つか、米国人は目の当たりにしている」ともコメントしたようです。
数行読んで、これは米国俳優組合のストライキのことを言っているのかなと推察しました。皆さんの中にも、俳優組合が全米映画テレビ制作者協会との交渉で合意に至らずに、ストライキを決行したというニュースを聞いた方がいると思います。争点はストリーミング毎の報酬と、AI利用の制限だったようです。これまでは、映像コンテンツの再利用は俳優にとっても収入の機会になっていたようです。つまり、ドラマなどの本放送の後に再放送があると、再放送からも収入が発生する仕組みです。ネットでのストリーミングが演技の機会の中心になると、報酬体系が難しくなることは想像がつきます。初回放送・再放送という定義自体が成り立ちませんので、視聴者数による報酬が議論の対象になっているようです。また、AI技術の発展によりコンテンツ作成時における問題意識もあるようです。俳優の姿を一度画像データとして取得したのちには、その俳優の姿を使用してコンピュータ技術でいかようにも演技をさせることができます。そうすると、俳優にはどのような支払いが発生することになるのでしょうか。時間的拘束という意味では、最初の画像データ取得にかかわる短い時間だけで済んでしまいます。ここにも、新しいルールが必要になってきます。俳優と脚本家のストが同時に行われるのは、1960年以来63年ぶりのようです。また、今回のストライキの背景の1つには、米国の長引くインフレの影響があることは間違いありません。
プラットフォーマーのメリットとリスクの意識
今回の新聞紙面を読んで考えたことがいくつかあります。もちろん、私自身もGoogle, Amazon, Meta(Facebook)、Microsoft, X などのプラットフォーマーのサービスは仕事上でもプライべートでも利用しています。利用しないで仕事を遂行することは困難ですし、これらのプラットフォームが日々の生活に彩や至便さを与えてくれることも間違いありません。また、ストラタスが所属している企業体のSGH社は、プラットフォーマーに対して製品やサービスを提供していますので、彼らは顧客でもあるわけです。そのような立場の私でも、情報の提供や取得をどこまでプラットフォーマーに許容したり頼ったりするのかということと、仕事をする上でそして生活をする上で、プラットフォーマーのサービスに対するバックアップ方法を考えておくことの重要性を再認識しました。
職業への影響はこんなところから
2つ目に考えたことは、ストリーミングや人工知能(AI)技術の人間の仕事に対する影響は、想定していなかった分野から表面化しているなということです。これまでは、生成型AIの議論の中で、ルーティーンジョブやマニュアルワークへの影響が大きいだろうということが言われていました。定型業務の効率や生産性の向上などが期待できる分野で貢献が始まるだろうという考え方です。また、日本の少子高齢化によりスキルの継承が難しいケースを代替できるのではないかという期待もありました。我々が、エッジコンピューティングを提案する中では、このような期待に応えるケースが多かったです。まずは、エッジコンピュータでディジタル化を進めて、どこかの階層でAI技術を利用し上記の期待に応えるというストーリです。まさか、俳優業のような仕事から、最新技術の影響が出てくるとは想定していませんでした。
「AIはあらゆる人と職業に影響を与えます。将来に備えた仕組みやルールを私たちが作らなければ、若い俳優や脚本家たちは今後大変な思いをするでしょう。未来の映画業界は私たちにかかっています」とは、スーザン・サランドンさんのメッセージです。このメッセージを読んで、数日間の頭の霧がはれて、目が覚めた気がしました。