ホーム リーダーシップ グローバル経済の回復への期待 ~日本ストラタステクノロジー 社長ブログvol.26

グローバル経済の回復への期待 ~日本ストラタステクノロジー 社長ブログvol.26

前回のブログ「Bullish(強気)なビジネスへの期待」では年初の当社のビジネス計画についてふれました。当社の会計年度23年の第一四半期は3月から5月末までの3か月間ですので、このブログが公開される頃には業績がほぼ確定しています。当社の世界4地域での現時点でのビジネス進捗を聞きますと、米国でのビジネスの活況が目立ちます。業種別には特に石油関連での需要が強く、採掘&生産(Exploration & Production)の上流、そして輸送の中流でのエッジサーバの販売が激増しています。ちなみに、輸送には精密な制御・監視、高い安全性、作動状況が継続的に確認できることが要求されます。昨年までは、石油・ガス業界では脱炭素化に向けた動きが加速していました。こうした中、石油メジャーは投資を抑制し、脱炭素関連事業への投資を拡大する方針を掲げていました。しかし、足元ではロシアによるウクライナ侵攻がかく乱要因になり、とりわけ、直近の原油需要の拡大と価格高騰が投資動向を支えているようです。

日本では、予断を許さない経済状況の中で、半導体関連と自動車関連の投資が堅調なようです。電子部品・半導体市場をみれば、5G端末普及に伴いスマートフォン1台当たりの搭載金額が上昇しているほか、テレワークの普及等でPC出荷台数が好調なこと等から、民生IT機器向け需要は堅調に推移しています。また、新型コロナウイルスや災害による世界半導体工場の稼働低下を背景に半導体・電子部品の調達不安が高まる中、最終製品メーカーが在庫積み増しを行っていることもあり、市場規模は新型コロナウイルス感染拡大前を上回って推移しています。当社もサーバー製品の部材としての半導体の不足に断続的に直面しており、一部の半導体は通常時には考えられないような金額で購入せざるをえないケースがありました。

また、半導体生産が集中する東アジアで地政学リスクが高まっていることや、足元で半導体の需給が逼迫していることもあり、米国や欧州、そして日本では、大手半導体メーカーを誘致すべく巨額の資金支援を検討する等、地域内の半導体生産能力強化に向けた動きが活発化しています。台湾のTSMC社が2024年には日本の熊本県と米国のアリゾナ州で新工場を稼働させる計画であることは、広くニュースで取り上げられました。Intel社やサムスン電子社も活発な投資計画が公表されています。このようなことを背景に、半導体関連の材料・装置メーカー等の中には拠点戦略の見直しを進めているケースもあります。

半導体不足は自動車の生産台数にも大きな影響を与えています。また、半導体不足に加えて、しばらく前には ASEANでの新型コロナウイルス感染再拡大に伴う複数部品の調達停滞等の影響もありました。そのため、部品供給不足の影響により販売台数の回復は限定的でした。そのような中で、 継続的なコスト削減に加え、北米市場での販売奨励金の抑制。更には円安進行等もあり、自動車大手7社利益合計はコロナ前を上回る実績となっています。先日、日産自動車と三菱自動車が軽自動車のEV(電気自動車)を今夏に発売するという発表がありました。国と自治体の補助金により、100万円台前半で購入できる価格設定となるようです。電気自動車の普及が一気に加速することが期待されます。しかし、半導体を含めた自動車部品の供給が一気に改善することを見通すのが難しい中で、生産が制約されることが危惧されます。さて、自動車産業全体に話を戻しますと、2022年の減産規模も2021年並みになる可能性があります。また、2023年~2024年以降に期待されている挽回生産についても、減産規模ほどの挽回生産が期待できるかどうか不透明な状況です。しかし、投資に関しては直近の決算での増収増益と挽回生産の期待を背景に積極的であることが期待され、当社のエッジサーバの需要も引き続き堅調であることを想定しています。

最後に少し大上段に構えた形になりますが、今後の世界経済情勢を見てみます。一般的には当面の世界経済は不透明感が強い状況が続く見通しであるという見立てがされています。しかし、個人的には回復基調が持続するのではないかと想定しています。コロナ禍前の経済状況に戻るのは本年の10月-12月期と言われていますが、場合によっては少し早い時期に戻る可能性もあると考えています。米国経済は、インフレ懸念の高まりから金融政策は引き締め方向に転換されていますが、総じてみれば回復傾向が持続しています。欧州では、地政学リスクを嫌気した原油価格高騰が回復への重石になっていますが、全体としては回復傾向が持続。中国経済は厳しいロックダウンが一部の地域で実施され、個人消費と工業生産に当面は下振れ圧力があります。但し中国を除くアジアでは、足元にかけて内外需ともに好調です。APでの当社のハードウェア・ソフトウェアの販売も堅調です。

かなり、希望的な感触を反映した見解なのかもしれませんが、当社の各地域での第一四半期のビジネス動向を概観したうえで、グローバルな経済状況に関して少し前向きで積極的な見方をしています。6月から8月の第二四半期にむけて、各産業により明るい兆しが出てきて、経済回復が明瞭になることを期待します。

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