ホーム リーダーシップ いま成長しているAIと付き合う ~日本ストラタステクノロジー 社長ブログ vol.30

いま成長しているAIと付き合う ~日本ストラタステクノロジー 社長ブログ vol.30

劇的に向上している翻訳ツールの精度

「先週、山口と広島に行った。」、そして「先週、山際と広島に行った。」 翻訳ツールではほんの少し前まで、この2つの文章を上手に識別して翻訳できませんでした。1文目は、“I went to Yamaguchi and Hiroshima last week.”です。2文目は“Yamagiwa and I went to Hiroshima last week.”と訳すのが正しいですね。現在では、翻訳ツールもこのように訳します。しかし、以前の翻訳ツールでは、2文目を“I went to Yamagiwa and Hiroshima last week.”と訳していました。ほんの3~4年前です。
個人的には、Google翻訳と、DeepLという翻訳ツールを使用しています。最近は、ほとんど後者を使用しています。以前は、自分で英作文した文章を日本語に翻訳させて、出来上がった文章を確認してオリジナルの英文の内容が通じそうかどうかの確認をしていました。一方で、日本語の文章を英文にする翻訳はあまり使用していませんでした。翻訳ツールの日本語読解力を信用していなかったのです。しかし、最近は日本語の文章を英語に翻訳させて、自分では思いつかない上手な英語の言い回しに感心しながら使用しています。たたき台としては全く文句のない文章が出てきます。翻訳ツールの精度は劇的に向上していますね。
DeepLに関しては、「語彙や慣用句、フレーズ単位で翻訳文を検索して、最適な翻訳例を導き出すアルゴリズム」や、「膨大なデータセット」は以前より活用していました。そうした基盤を活用しつつ、根幹を成すニューラルネットワークに多くの改良を加えて出来上がったのが現在のバージョンのようです。AI翻訳ツールとして、非常に完成度が高いと言えます。

ChatGPT:自然な文章だが誤答も

さて、AI技術関連で昨今最も話題になっているのが、ChatGPTですね。「Chat」(チャット)はご存じのようにインターネットでリアルタイムに会話することです。当社のホームページにアクセスしていただきますと、チャットボットが画面に表れて、会話型で製品やサービスに関する問い合わせに回答をしますが、そのチャットです。GPTはGenerative Pre-Trained Transformerの頭文字です。「事前学習して、自分で新たな文章を生成するモデル」と言えます。一般的には生成系AIと呼ばれています。これまでも、上記のチャットボットのように、AIアシスタントとして、「こう聞かれたらこう答える」とあらかじめパターンが決められているものは多くありました。一方で、ChatGPTは、膨大な学習内容の中から回答にふさわしい内容をピックアップして、かなり自然な文章を作り出します。
ChatGPTは例えると、何を聞かれても、いかにも自信満々に知ったかぶりをする人のようです。何といっても、依頼に応じて自然でなめらかな文章を瞬時に作成するのです。翻訳もしますし、文章の要約もします。コンピュータプログラムのコードまで生成します。一方で、誤ったことを平気で回答してきます。平気なのは当たり前ですね、コンピュータですので、心に動揺はありません。私の知人の多くは、ChatGPTに間違った回答をさせて、その内容を共有して遊んでいます。また、ChatGPTは回答の根拠とした資料を提示しませんし、著作権を侵害しているリスクもあります。

ChatGPTをどう使う?

課題を出された際に、短時間になるべく多くの情報収集をして、自然な文章で表現する。いろいろな応用が考えられます。先般、国会の質疑応答のたたき台作成に使えないかという議論もあったようですが、少しびっくりしました。なぜなら、ChatGPTは知ったかぶりではありますが、誤ったことを平気で回答してくるからです。現時点では使えませんね。官僚の仕事を減らして効果的な議論をするには、国会議員が自分自身でもう少し勉強するほうが近道でしょう。
一方で、大学生が課題に対してレポートを作成する際には大いに役立つと思います。但し、ChatGPTが生成した文章にウソが含まれるリスクを学生が認識して、批判的な目線で確認して適宜修正することが必要になります。また、入力した質問や指示した内容なども蓄積されて学習されるので、公表したくない情報や個人情報が漏洩するリスクもあります。しかし、ChatGPTは本当になめらかで、それらしい文章を作成しますので、良い成績につながる可能性が高く、学生が使うことは止められません。大学では、口述試験や、その場で書かせる試験と組み合わせないと、学生の評価が難しくなりそうです。
まだまだ大学によって、ChatGPTの使用に関する考え方には幅があるようです。英ケンブリッジ大学やパリ政治学院では、文章や発表資料の作成にChatGPTを使用することは原則禁止のようです。東京大学では、レポートは学生本人が作成することが前提で、生成系AIのみを使用して作成することはできないという考えのようです。何となく全否定はしていないですね。

生成系AIの活用範囲と限界

冒頭で、翻訳ツールが数年で劇的に改良されているという例を出しました。現時点でも最終的な翻訳後の文章には作成者のチェックは必要だと考えますが、かなりの度合いでそのまま使用できます。生成系のAIもこれから加速的に進歩するでしょう。それでも、人間が上に立って批判的思考で判断する必要がある状況は当面は続くと考えます。どれだけ、なめらかで、それらしい文章を作ってきても。
さてさて、日本ストラタステクノロジーで生成系AIを使用することはあるでしょうか。現時点では、提案書を記述する際に使用できるのではないかと想定しています。また、不特定多数の方々向けのメール文章を記述するにも使用できないかと想定します。しかし、少しでも機密情報や個人情報に関わることには使用すべきではないことを考えると、範囲は狭そうです。
このブログは私自身が記述しました。ChatGPTだと、もう少しこなれた文章だったかな。

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